おまめのくずかご

とりあえず見たもの読んだもの感想とその他吐き散らかし場。

初めてBANANA FISH を視聴した話

BANANA FISHを先日初めて見て、もう自分の中の感じたことをまとめて吐き出さないと死にそうだったので感想書いてみました。

めちゃくちゃネタバレしますのでまだ観たことない人は絶対に見ないでください。

初めて見てすぐに書き散らかしたので色々考え直したところもありますが、とりあえず最初に受けた衝撃を文章にしてみました。

 

 

 

 

 

つい先日BANANA FISHを見た。

 

アニメ化されると聞いていた時から、キャラデザが気になっていたし、少年二人のちょいBLちっくな話とかものすごい面白いという噂を聞いていたので見てみたいとは思っていたのだけど、リアル放送時には国外にいたのと、あんまりハッピーエンドじゃないらしいということも聞いていたのでなかなか手が出せてなかった。

キャラのビジュアルをみると、英ちゃんがYOIのゆうりに似ていた、軽いBL要素を期待しながら時間を潰すために軽い気持ちで夜の9時くらいから見始めた。今思うと大失敗である。

 

夜9時から見始めて、なんと20話までぶっ通しで見てしまった、部屋が明るくなってきたので気づいたら、時刻は朝の6時過ぎ、翌日はバイトだったからしょうがなくそこで一度やめた。正直その日は1日ほぼ使い物にならなかった、眠くて、とかではなくてもう続きが気になってしまって常に英ちゃんとアッシュがどうなってしまうのか怖くて怖くてたまらない。私は原作も読んだことがなく、幸いネタバレツイートなんかも見ていなかったのでほんとに結末が予想できなかった。二人が幸せに生きてくれるのが1番だけど、なんとなく英ちゃんが犠牲になってしまうんじゃないか、最悪二人とも一緒に殺されてしまうんじゃないか。そんな嫌な妄想が隙があれば頭の中をぐるぐる駆け巡るので胃は痛いわ、気をぬくと涙が出そうになるわでどうしようかと思った。元気がなさすぎてバイト先のフランス人に体調を心配されたほどだ。自分でも正直社会人としてどうかと思ってしまうほど自分で自分がコントロールできなかったのだ。

 

そして私はそのまま最終回まで鑑賞した。気分は最悪、こんな虚無感に襲われたのは嫌われ松子の一生とかトガニを観た後くらいの絶望感。私のメンタルズタボロシリーズ堂々のランクインである。

 

悲しすぎる結末に涙が止まらなかった。こんなに胸が痛いエンディングはほんとに生まれて初めてだった。アッシュが刺されたと認識された瞬間、私は思わず悲鳴をあげてしまって、そのまま涙で画面がぐしゃぐしゃになって見えなくなった。悲しすぎて机に突っ伏して泣いた。イヤホンから英ちゃんの声だけが聞こえてきてもう何がなんだかわからなくなってしまった。

 

なぜアッシュは殺されなければなかったのだろう、もしかしたらこのまま日本に行けたかもしれないのに、英ちゃんと二人で、親友と笑いあえる未来があったのかもしれないのに。

もしこれが彼が人を殺し続けた代償なのだとしたら、じゃあ彼が幼い時に受けたレイプや今までに受けた仕打ちから逃れるためにどうすればよかったのというのだろう、あまりにも不平等すぎて不公平すぎて残酷にもほどがあると思った。しかも彼を殺したのはシンのことを想って行動を起こしたラオで、英ちゃんからの手紙がアッシュに隙をうませてしまった。悪意による殺人ではない、ほんのすれ違いと最悪のタイミング、誰かを責めることもできない、悲劇以外のなにものでもない。

たとえ奥村英二というかけがえのない人間を手に入れたとしても、そんなことで今までアッシュが受けた悲しみがチャラになるわけないじゃないか、アッシュはもっと幸福に生きるべき子供だった。

英ちゃんはさよならは言わない、僕らはいつかどこか会えると言った、魂はずっと一緒だと。でも私はもうそんな言葉では救われないぐらいに悲しかった。だって何を言ったってアッシュの時間はもうあそこで止まってしまったのだ、彼はもう17歳のあの時間から動くことはない、死んでしまったらなにもかも終わりだからだ。しかも英ちゃんとアッシュは結局最後に会えなかった。アッシュが英ちゃんの腕の中で死んだらもっと救いがあったんじゃないか、とにかく色々と考えたがもうわからない。とにかくアッシュは死んでしまった、死んで自由になった。かけがえのない親友を得て、人を愛して、愛されて彼は逝ってしまった。

 

ずるいところはこれが作品として完璧に美しいところだ。悲しくて残酷だけどアッシュにとっては幸せに違いなくてもう何一つ文句のつけようがないところだ。

もしかしたら、私がこの作品に出会っていたのが中学生とか高校生の頃、アッシュや英ちゃんと同じくらいの年頃だったらもっと違う感想を抱いていたかもしれないと思った。

アッシュは死んで自由になった、そこで初めて自分の望んでいたものを手に入れて二人の魂はずっと一緒にいることができる。とても悲しいけれどそんな美しいエンディング、一つの幸福の形。として受け止めることができたかもしれない。でも私はどうしても考えてしまう、アッシュが日本に行けていたらどうだったろうとか、二人が普通に幸せにくらせる未来があったんじゃないかとか。いくつもの「もし」が頭の中をよぎってしまうのだ。そう考えてしまう私はもう大人なのだろう、彼らの未来への可能性を考えてしまう、子供はもっと幸せに生きるべきと考えてしまうから。美しく気高い死に賛同できなくなってしまったから。余計なお世話でも彼らにただ生きて欲しかった。

 

たかがアニメの話なのに、二次元のキャラクターなのに私はこんなに絶望するほどに「生きていた」二人を見ていた。彼らの人生を、あまりにもリアルに受け止めすぎたのだと思った。やりきれない気持ちが大きすぎて1週間ほど毎夜泣いていた。自分でも本当にやばいと思う。現実と妄想の区別がついてないんじゃないかと心配になったくらいだ。

Animation の語源はラテン語でanima、生命のないものに命を吹き込んで動かすことを意味するらしい。

BANANA FISHはまさにanimaそのものだった。

私は「生きた」彼らを見て、彼らの物語を見た。だからこんなに悲しくて考えてしまうのだろう。

 

観終わって原作が私が生まれる前のものだと知って心底驚いた。

こんなに時間が経っても心を激しく揺さぶられる作品に出逢えてほんとに幸運だと思う。

 

作者の吉田秋生先生に心の底からの感謝を。

そしてこの作品がアニメ化されてほんとに良かった。出会うきっかけを与えていただいてありがとうございました。何もかもが最高でした!!!

 

さて、私は光の庭という後日譚があると耳にしたので原作を読んでからそちらに挑もうと思います。

ただまだ心の準備ができてないのでまだちょっと時間がかかりそう…。

他にもまだまだ全然書き散らかしたいこともあるけどとりあえず今日はこの辺で。